『お洗濯の思い出』
洗濯物をたたんでるときって、なんだか落ち着く。
これはあたしの、これはあそこのタオルで・・って考えながら
ひとつひとつ、ゆっくりたたんで山にしていくのが楽しい。
子供の時から洗濯が、というよりは、
洗濯物をたたむのが好きだった。
小さい頃はとても甘えん坊で、
お母さんが大好きで片時も離れなかった。
さすがに食事の支度をしている時は危ないから離れていたけど、
それ以外は、ずっと。
片手にぼろぼろになったうさぎの縫いぐるみを抱え、
もう片方の手でお母さんのエプロンの端をぎゅっとにぎりしめて
ちょこちょこ、ついてまわってた。
「迷子になる心配がないね。」
良く言われてた。
いちばん楽しかったのは洗濯物をたたむ時間。
少し日の落ちてきた夕方、朝から干してあった洗濯物を取り込んだら、
パチンパチンと洗濯ハサミを外すのはあたしの役目。
パチン、はずすたびにタオルがふわりと落ちていく。
そして畳の上に積もっていく。
すべての洗濯物を落とし終わると、
まずはその山の上に、乗る。これ最高。
「こらこら、やめなさい。」
そう言われるまで転がって、太陽のにおいを嗅いでた。
それから、お母さんの横に並んで座って、たたみ始める。
「じゃあタオルをたたんで。まずは半分に折って・・」
お母さんの説明を一生懸命聞いて、夢中でタオルをたたんで重ねた。
ときには手巻き寿司のように巻いてみたりした。
タオルがどんどん積み重なっていくのが嬉しかった。
重ね方が悪いと、高く積んだときにぐらぐらした。
あたしはタオルやハンカチ、簡単なものをたたむので精一杯。
たたもうと頑張っても、くしゃくしゃにしてしまう。
それをお母さんは軽々、すばやくたたんでいった。
シャツの袖を合わせて
まるでお店に並んでるようなたたみ方。
靴下を合わせて、くるり、と一瞬。
やり方を聞いても、あたしにはできなかった。
見てるとわくわくした。
見てるとドキドキした。
お母さんすごいって思った。
最後に、綺麗にたたんだタオルの山を抱えてタンスにしまいに行く。
隙間なくぎゅうぎゅうにつめて、それで洗濯作業は終わり。
太陽の光で乾いたタオルは暖かくて少し焼けたような匂い。
とてもいい時間だったような気がして、
だから洗濯をたたむのは今でも好き。
いつか誰かのシャツも大事に洗いたい。
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